川柳がふたつ出そろった頃には,午後1時を回っていました。1時間以内で下準備です。実はちょっぴり手の込んだことをしようとしているのです。まず,川柳ふたつを合わせると6行ありますよね。それを6人で1行ずつ分担するわけです。
最後の「かめ元気」の担当はどうするんじゃ!
皆の注目はそこに集まりました。
しかーし。うすうすお分かりかと思いますが,ここは野獣アツリンに涙を飲んでもらうしかないでしょう。というより,半ば強引にアツリンに決定です。
あとはジャンケン。次のような担当が決まりました。
ごーるいん(オレ)
ともに歩みて(フザケ牛)
うれしくて(庄司イカ)
子づくりに(ミノオッチ)
なんどもトライ(チョロ)
かめ元気(アツリン)
ひとりひとりは,長い半紙に筆で大きく文字を書き,本番では丸めた半紙を開きつつ,大声で文字を読み上げる段取りになっています。
さて,リハーサル。6人は「いやいやいや,どもどもども」ってな感じで登場。北川が代表して二言三言挨拶したあと,「ごとう」「こなか」の順番で川柳を読み上げる。チョロのこの上ないイカくささが非常によろしいのでした。イカくさい,というよりも,ほとんどイカのにおいがしています。さらにアツリンのやけに元気な「かめ元気!」も大はまり。配役は抜群です。爆笑間違いなし!・・・・・・かも。
いよいよ披露宴です。袴姿の小中,着物姿の後藤,そして両家のご両親が丁重にオレたちを迎えてくれるのでした。小中はしばらく見ないうちに大人になっていました。何か,オレたちは小3のガキ,小中だけ中学生でボーボーみたいな気分です。
ところで,小中がカメラを前にすると笑わない生き物であることを知っているでしょうか。一度,自分んちにあるHOTOKEアルバム(あるやろ? 普通)をめくってみれば分かるでしょう。奴はそれまでいくら笑っていようと,カメラを向けると顔を作ってしまう習性を持っているのです。大抵,岩のような顔をして映っているはずです。
披露宴が始まる前に挨拶をしたときも,「おー,ありがとー」とか言ってニコニコとしているのですが,オレがカメラを構えた途端,さっと,あの「岩面(いわづら,と読む)」に切り替えるのでした。
披露宴が始まりました。夫婦入場(そんな言い方するっけ?)とか,夫婦紹介とか,上司挨拶とか,まあ,そういうことがしめやかにとり行なわれていきました。
料理も豪華です。フォアグラとか,キャビアとか,フォアグラとか,あとフォアグラとか(そればっかしかい),普段食べられないような品々が並びます。舌鼓を打ちながら,小中の会社でのまじめな働きぶりや,後藤がクッキーを作って小中にアプローチしたほほえましい思い出話に,耳を傾けるのでした。
HOTOKEビト6人は,やはり少し緊張気味です。どうせなら早く順番が回ってくればいいのですが,あいにく挨拶は最後の最後,大トリなのです。せっかくのフォアグラも,えいや,とワインで流し込む感じです。一見,繊細さとは無縁のアツリンも,「酔っぱらっちゃる」とかいいながら,酒をどんどんあおる始末・・・・・・。
緊張感を高めるもうひとつの要因は,会場に笑いが少ないことでした。小中の同僚などもけっこう面白い挨拶をしていたのですが,受けていたのは半分酔っぱらい集団と化したHOTOKEビトだけだったりするのでした。
でも,会場全体が幸せムードです。ケーキ入刀,キャンドルサービスと事は進行していきます。小中の顔にもいつになくハッピーの相が出ていました。
ただし小中は,カメラに向かってはほほ笑みを決して見せません。オレは内心爆笑しつつ,史上初,にこりとも笑わない岩面のケーキ入刀に,絶え間なくシャッターを切り続けたのでした。